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2023.12.5

離婚協議書とは

離婚協議書は、離婚後に夫婦のどちらもが守らなければならない約束事をまとめた書類、契約書のことです。

離婚後は夫婦ともに自由になりますが、離婚したからといって相手に対する責任が全てなくなる、というわけではありません。

例えば、子供の養育費の支払いです。養育費は子供の成長のために必要な費用なので、成人するまで親は責任をもって支払う必要があります。しかし、現実には支払い滞納や、支払われないというケースが多くみられます。

離婚協議書は、そのような離婚後の問題を防止する有効な手段です。もちろん、離婚協議書を作成したからといって、確実に相手から養育費をもらえるという保証はありません。しかし、離婚時に取り決めたことを契約書として残すことで実効性を高くすることができます。

そもそも離婚とは

離婚:法的に婚姻関係にある夫婦が婚姻後に生じた事情により、協議のもと婚姻関係を解消すること

夫婦間の話し合いにより、夫婦の本籍地または所在地にある市役所、区役所、町村役場に離婚届を提出して離婚することができます。
しかし、実際の離婚後の生活には、財産分与、子供の養育費、子供との面会方法など、対応しなければならない問題がいくつもあります。それらの点について、口頭での約束だけではクリアになららないことが多くあります。

そこで、事前にその内容を文書にして残し、約束事にしておくことが必要となります。離婚協議書はそのために作成する書類です。

 

離婚協議書は夫婦間で作成することが可能です。必ずしも公正証書で作成する必要はありません。しかし、後述するような注意点もあります。

離婚協議書の内容

離婚協議書に記載する内容は次の通りです。

  • 双方が離婚に合意したこと
  • 子供の親権をどちらがもつのか
  • 養育費の支払いについて
  • 財産分与について
  • 慰謝料について
  • 子供との面接について
  • 年金の分割について(厚生年金に加入している場合のみ可能)
  • 清算条項について

これらのうち注意が必要なのは、「財産分与について」の対象となる住宅ローンについてです。住宅ローンの残額と不動産の売却価額の関係や、配偶者が連帯保証人となっている場合など、状況によって対応が異なります。

例えば、住宅ローンの残額よりも不動産(住んでいる家)の売却価額のほうが高い場合は、不動産を売却して住宅ローンを返済して残った金額を夫婦で分けることが可能です。しかし、住宅ローンが残ってしまった場合、住宅ローンの支払方法はどうするのか、どちらが家に住み続けるのか、などを話し合わう必要があります。

また、夫婦間での話し合いで、夫が住宅ローンを支払うことになっても妻が連帯保証人の場合、夫からの支払いが滞った際、金融機関からの支払い請求は妻にきます。離婚協議の内容は金融機関との契約には関係がないからです。
そういう事態を回避できるよう離婚時に金融機関に相談するということもできますが、新たな連帯保証人をたてるなど、ローンの返済リスクを抑える手段がなければ金融機関に応じてもらうことは難しいでしょう。

最後の「清算条項」とは、離婚協議書の締結によって離婚協議の内容が確定したことを示すものです。「清算条項」条項を入れることによって、離婚後には互いに相手に対して物理的、経済的に何らの請求をすることができなくなります。

 

離婚協議書作成のメリット

離婚協議書を作成するメリットは次の通りです。

  • 離婚をするにあたっての取り決めを契約書として残すことができる
  • 夫婦間で作成する場合には費用がかからない
  • 夫婦間で作成する場合には面倒な手続きが必要ない

中でも最も大きなメリットは、離婚するにあたっての約束事を契約書という形で残すことができるということです。

口約束とは異なり文書化しているので、後日、言った言わないというトラブルを防ぐことができます。

また、養育費の支払いや子供への面接方法も明確になるため、後日、トラブルが起きるリスクを抑えることができます。

 

離婚協議書作成の注意点

離婚協議書にはメリットもありますが、次のような注意点もあります。

記載された内容によってはその部分が法律的に無効となる可能性がある

例えば、内容が反社会的であったり、離婚後に再婚することは認めないといった内容の条項です。
また、養育費は一切支払わないといった条項については、夫婦間では有効ですが、それによって子供の生活に支障がでる場合、子供からは養育費の請求ができるものとされています。

紛失のおそれがある

離婚協議書は2部作成し、夫と妻がそれぞれ1通ずつ保管しますが、紛失するおそれがあります。また、偽造される可能性についても指摘されています。

離婚協議書の内容について争う場合には裁判をする必要がある

夫婦間で作成した離婚協議書に基づき、相手に条項の履行を求めたら争いになってしまったという場合には、裁判でこちらの主張を認めてもらう必要があります。
相手方に金銭の支払いを求める際、それを可能にする「債務名義」と呼ばれる書類を提示することが必要です。債務名義とされるのは裁判による勝訴判決、もしくは次に解説する公正証書です。離婚協議書は「債務名義」とはみなされません。

 

公正証書による離婚協議書作成のおすすめ

離婚協議書は公正証書での作成をおすすめします。一番の理由は、養育費の支払いで争いが生じた場合、相手方に対して裁判に訴えることなく差押えの手続きを行うことができるからです。

通常、公正証書には執行認諾文が付けられます。
執行認諾文とは、金銭債務の支払いが滞った場合には資産の差し押さえを受けても文句は言いませんということを債務者が認めた文章のことです。

金銭債務については、執行認諾文があれば裁判所の勝訴判決を得ることなく、迅速に相手の資産の差し押さえ手続きができます。

公正証書にすることで次のようなメリットがあります。

  • 相手に養育費の支払いを促す効果がある
  • 公正証書は原本が公証役場に保管される
    →離婚協議書の紛失や改ざんなどのリスクが削減できる
  • 公証人による内容のチェックが行われる
    →法律的に間違いがない離婚協議書を作成することができる

 

離婚または、離婚協議書の作成をお考えの皆さまへ

何らかの事情で離婚しなければならない場合、離婚後の生活をどうするべきか、また、どうしたいかを事前に考えておくことは大切なことです。そのために離婚協議書作成は必要です。

笹木行政書士事務所では、公正証書による離婚協議書作成のサポートをしております。離婚協議書の作成を検討されている方、ぜひ、ご連絡ください。

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